連載小説
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指先に触れたあと

監獄の楽園、泥クジラの民は大きく二種類に分かれる。
一方は命を捧げ砂上の船を運ぶ者、もう一方は欺瞞で楽園を創り上げる者。
父は硬い幹のような手で私の頭に触れた。この世界の真実を告げながら。
ーーーお前が事実を紡いでいくんだ。それがお前の才能だ。
一日が過ぎ、一週間が過ぎた。
父は冷涼な洞窟の中でみるみる冷たくなっていった。
握った父の手から熱がなくなったころ、私は脳内を交錯する言葉の密度、その重さに耐えきれず幾度も嘔吐した。私は文字を知らなかった。
父の望み通りに、事実をこの世に残すことはできない。
私は一人で語り始める。
誰の為でもない、私の為に。

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#オリキャラ #モブキャラ #戦闘描写