連載小説

SS投稿館

目次 下へ

エピソード32「ひとりぼっちの最果てのうわさ」【後編】

私たちはアイさんからひとりぼっちの最果てに行く方法を聞いた後、早速電波塔へ向かった。

「うわー、高いねー」

「本当にここから行けるのかしら?」

「わっかんねぇーよ」

「......」

かなりの高さがある。魔法少女とはいえ、つい息を呑んでしまう。

「私、行って来ます」

「あなたが? 危険だわ」

やちよさんが私に『危険だ』と言われることは分かっていた。けど、

「私に送られてきたメールです。私が行きます」

私は真剣な眼差しでやちよさんを見つめ言葉を待つ。

暫く待ってやちよさんが口を開こうとしたその時、

ユラッ

「モッキュー!!!」ピョン

小さなキュウべぇ!?

小さなキュウべぇは電波塔を飛び降りた。

私はキュウべぇをつかまえる為に自分の体も電波塔から身を投げ出した。

私が飛び降りると周りの景色はプログラムがバグったような砂嵐が流れた。

ジジジと耳に響く不快な音と共に私は下へ下へと落ちていく。

「くっ、キュウべぇ....」グググッ

私は小さなキュウべぇをつかまえる為に手を伸ばす。

パシッ

届いた! その瞬間景色が変わる。
不快な音も消え私は小さなキュウべぇを抱えたまま、ひとりぼっちの最果てへと侵入した。

「いろはさん!?」

「カイリくん!」

私の目の前にはカイリくんがいた。
やっぱり少年はカイリくんだったんだ。

「カイリ、その人は?」

カイリくんの後ろから髪の毛を左右で結った緑髪の女の子が出てきた。

「彼女は【環いろは】さん。僕の先輩だよ」

「えっと、初めまして。【環いろは】です。中学三年です」ペコッ

「私は【二葉さな】です。中学ニ年です」ペコッ

「そういえば環さん」

カイリくん、その呼び方はもうやめようよ。私達はもう名前で呼び合えるぐらいに仲がいいんだかさ。

「いろはで良いよ」クスッ

私がそう言うとカイリくんは目を輝かせ大きく息を吸って

「いろはさん、どうしてここに?」

「私が呼びました」

大人な声。
姿を表したのは私たちよりも何倍もデカく顔のない女の人。

彼女が【アイ】さんなのだろう。

「どうして?」

さなちゃんは険悪そうな顔でアイさんに聞く。

「さな、あなたは外の世界へ出なければなりません」

「別に私はアイちゃんといればそれでいいのに....」

「....それはできません」

「なんで....」

「さなには人間の友達が必要です」

「私....」

ズドーン

「何?!」

「外部からの侵入です!」

「あなたたちマジでGuiltyなんですケド?」

「誰?!」

私たちの目の前に現れたのは警察のような帽子をかぶった黄緑の髪の毛の少女だ。

「彼女は【アリナ・グレイ】です」

「もう殺すしかないよねぇ?!」バッ

すかさずアイさんがアリナと名乗る少女をこことは違う何処かへ飛ばす。

ひとまずは助かったといったところか

「さな、すぐにとは言いません。どうか外ヘ行くことを考えてください」

「私は....私はアイちゃんと外の世界ヘ行きたい!」バッ

「そんな、私はうわさです」

さなちゃんは唇を噛みしめ今にも泣きそうな声でアイさんに言葉を投げる。

「大丈夫だから! アイちゃんはいつだって私の心の中にいるから!」

「さな....」

アイさんは一本のナイフをさなちゃんに渡す。

アイさんは表情が分かるようにさなちゃんの姿になった。

あともう一つさなちゃんの姿になったのは過去の自分を乗り越えろと言うことかも知れない。

アイさんはニッコリと優しく微笑み大きく手を広げる。

「アイちゃん」グスッ

さなちゃんはアイさんの胸へ飛び込みそれと同時にアイさんの胸にナイフを突き刺す。

それは殺意とかではなく、温かくて儚くて、優しさが籠もった気持ちをひと突き刺し、さなちゃんはその手を離すことなく涙を流しながらもアイさんに抱き締められている。

暫く抱き締めていたアイさんは手を離す。

「さ..な.....」

「アイちゃん」

「一緒に..外の世界....ヘ....」

アイさんの言葉と共にパリーンと儚い音が耳に響く。

結界が破れたのだろう。
結界が破られると私たちは外へと投げ出される。

「くっ」

風が強いせいか目が乾く。
必死に目を開けた先には気絶をしているさなちゃんを見つけた。

手を伸ばせばなんとか届く距離感だろうか? いや、届く、手を必ず取って見せる!

「あと、少し....」

パシッ

「!!」

カイリくん!

「届いた!」ニッ

パシッ

「私も!」フッ

手を取れたところでさらに風が強くなる。

ブァッ

絶対に手を離さない!
________________
気が付くと私たちは地上に着いていて周りに色々散乱していた。

どうやら原因はフェリシアちゃんらしい。

その後、私たちは、やちよさんたちと合流した。

「何をしているでございます!」

「これ、ウチらの責任になっちゃうよー!」

聞き覚えのある声が二つ。
息はピッタリ、顔も瓜二つの姉妹。

「天音姉妹!!」

「こうなったら....」

天音姉妹が攻撃を仕掛けようとしたその時

「ちょとぉ?!」

また、聞き覚えのある声

「壊れちゃったよねぇ?! アリナの飼育箱!!」

顔が怖いな、これはやばい。

「Artを壊していいのはArtistだけだよねぇ?!」

アリナは絵の具のようなもので攻撃をしてくる。

「何をしているでございます?!」

天音姉妹の姉の方、さっきからそれしか言ってない!

「ウチらまで巻き添えになっちゃうよー!」ワーッ

「鶴乃!」

「フェリシア!」

キイイイイン

「はああああっ!」

「Guiltyなんですケド?」

パシュンッ

どこからか銃弾が打ち込まれた。
アリナの帽子を目がけて

「それ以上暴れるのはやめなさい」

「あなた、あの時の」

「あの時はごめんなさい。悪気は無かったの」

「そんなこと言って信じるとでも?」

「都合がいいのは分かっているわ。でも、これだけは言わせて?」

「何?」

「“私たちはあなたたちの敵ではない”」

「ちょっと!」

彼女が行く先にはやちよさんの親友、みふゆさんがいた。

しかし、みふゆさんはやちよさんに何も言うことなく霧の中へと他の魔法少女と姿を消した。

2021/06/09 07:16更新 / 夏倉 天
«戻る 次へ»

■作者メッセージ

長っ!長くて申し訳ないです!
日曜日に更新予定だったのですが早く達筆できました!(日曜日も更新予定です!)今回結構、セリフイジらせて頂いています!

もう、さなちゃん回は大好きです!泣けます!

では、次回もお願いします!ふんふん♪


目次

いいね!

コメント
通報

SS投稿館